ヒリヒリ、カサカサ…顔が乾燥すると化粧ノリも悪くて気分も沈みがち。
基本と言われる保湿ケアですが、シンプルだからこそ、何をやったら良いのか、どこまでやれば良いのか迷ってしまうことも。
ここでは、顔が乾燥したときにチェックしたいスキンケアのポイントを15の「チェックリスト」にまとめてみました。
乾燥肌対策の参考になればと思います。
▼チェックリスト
- スキンケアを"全体的"に振り返ろう
- スキンケアの「落とす」プロセスを丁寧に
- スキンケア「補う」プロセスのコツ
- ニキビができたら乳液を上手く使ってみて
- 敏感肌の人は乾燥対策がとても大切
- 顔が乾燥するときの日焼け止めの使い方
- 顔が乾燥するときのファンデーションの塗り方
- 顔が乾燥するときの乳液の使い方
- 顔が乾燥するときの美白ケアの順番
- 乾燥を伴うアトピー性皮膚炎のスキンケア
- 顔を乾燥させない洗顔料&クレンジング選び
- 顔を乾燥させない化粧水選び
- 顔を乾燥させない乳液・美容液・クリーム選び
- 顔の肌トラブルを避けよう
- 素顔に自信が持てたらゴール
1.スキンケアを"全体的"に振り返ろう
スキンケアの手順は、
- 落とす…クレンジング、洗顔
- 補う…化粧水、美容液、乳液、クリーム
- 守る…日焼け止めによるUVケア
が基本です。
保湿ケアというと2番目の「補う」手順にばかり目を向けてしまいがち。
ですが、保湿の成果を出すにはどの手順もおろそかにできません。保湿ケアは「化粧水だけ」「クリームだけ」というように、特定の手順を一点豪華主義のようにするよりも、どの手順もていねいに行い、全体的に改善した方が効果を出しやすいでしょう。
2.スキンケアの「落とす」プロセスを丁寧に
洗顔やクレンジングの落とすプロセスでは、メイクや肌の汚れ、皮脂、古くなった角質(あか)などを洗い流し、毛穴の詰まりを取って肌を清潔に保つことが大切です。洗顔やクレンジングでしっかり汚れを落としておかないと、毛穴が詰まったり、肌表面に古い角質がたまったり(角質肥厚・かくしつひこう)して、有効成分の浸透力が低下、化粧水や美容液による補うケアの効きが悪くなります。くすみやニキビができやすいといったマイナス面もあります。
しかし、汚れを落とすことに一生懸命になりすぎると、今度は肌の保湿に欠かせないセラミドを洗い流してしまいます。通常、肌は乾燥すると皮脂を多めに出すことで対策しようとします(脂性肌やインナードライの原因)。皮脂の分泌は難しくないからです。
一方、セラミドはというとそうはいきません。上でも少しふれたとおり、セラミドはターンオーバー(約4週間)における細胞の生き死にの結果作られます。つまり、新たに作り出すのに4週間は必要になるので、一度失ってしまうとゆっくりとしか回復しません。汚れや皮脂は落としても、セラミドを落とし過ぎないことが重要になります。
洗顔とクレンジングを比較すると、洗浄力が高いのはクレンジングです。クレンジング剤には油溶性のメイクをしっかり洗い流せる成分が配合されています。セラミドも油溶性ですから、クレンジングでゴシゴシ洗うと失われやすいのです。
そこで、クレンジングは短時間で済ませるようにします。目標は40秒程度がよいでしょう。強すぎるクレンジング剤を避ける、さらに洗浄力の弱い洗顔も組み合わせる、などしてトータルで洗浄力が強くなりすぎないようにバランスをとりましょう。
クレンジングの洗浄力は界面活性剤によるもの
クレンジング剤は油分でメイクを浮かせ、界面活性剤が水となじませて落とすという仕組みです。この界面活性剤は高い洗浄力を出すために必要なものですが、肌への刺激も大きくなります。界面活性剤の量はオイルタイプに多く、ローションタイプには少な目に配合されているのが一般的です。
3.スキンケア「補う」プロセスのコツ
化粧水で水分を与えた後に「油分でフタ」をするようにと教わった人も多いのではないでしょうか。手順の説明としては、このような理解でも大きな問題はありませんが、ただ厳密に言うと、油分によるフタの機能はあまり大きくありません。
油分の代表は皮脂ですが、この皮脂が水分をキープしてくれる割合は案外小さいからです。
- セラミド…80%
- 天然保湿因子…17~18%
- 皮脂…2~3%
の割合で水分キープに貢献していると考えられています。
どうでしょう? 皮脂の貢献はかなり少なく、セラミドの貢献が非常に大きいことが分かりますよね。
ということは、スキンケアの「補う」プロセスで重要になるのは、水分キープに役立つセラミドをはじめとする保湿成分を補うこと。セラミドは油溶性なので美容液、乳液、クリームといった油分の多めの化粧品を使うことになります。結果的に油分でフタをしているような手順にはなるものの、油分なら何でもいいわけではなく、ちゃんと保湿成分が含まれていることが大切です。
スキンケアとメイクに気合を入れた午前中は乾燥していなくても、15時~16時ごろになると肌が乾燥してくることがあります。いつでも乳液やクリームを足せるように準備して、化粧直しのタイミングで塗りなおすことで乾燥を防ぐとよいでしょう。
4.ニキビができたら乳液を上手く使ってみて
ニキビができたときは、できるだけ肌を刺激しないようにするのは正解です。でも、全くスキンケアをしないと肌が乾燥してしまいます。
乾燥を防ぐための保湿ケアはやっておきたいところです。大人ニキビができるメカニズムは、肌の乾燥によってバリア機能が低下するところから始まります。そして、過敏になった肌が防衛反応で角質を厚くして、毛穴が詰まってニキビができます。
そのため、もともとの原因である肌の乾燥を防ぐことはニキビ予防につながります。ただし、保湿ケアが肌への刺激になってしまっては逆効果。できるだけ肌に余計な成分を与えないシンプルケアが基本です。特に過剰な油分はニキビをできやすくするので避けた方が良いでしょう。
保湿ケアでは、肌に潤いを与えた後、肌を油分の膜でつつむとよいと言われます。かといってオイルやクリームでは油分が強すぎます。ニキビができてしまったときのスキンケアには、ほどよい油分で、肌の炎症を鎮める働きのある成分を配合した乳液がよさそうです。
5.敏感肌の人は乾燥対策がとても大切
乾燥肌と敏感肌って少し似ていますよね。違いはあるのでしょうか?
乾燥肌は肌が乾燥しやすい肌タイプ。対策は、保湿ケアによって肌がもともと持っている潤う力を回復させてあげることです。
一方、敏感肌はというと、肌の乾燥以外にも、ストレス、睡眠不足、生理前後、季節の変わり目、偏った食生活、アレルギー体質といったいくつもの要因が重なって生じると考えられます。つまり、乾燥肌に比べて、スキンケアだけでは改善が難しいのです。
ただし、敏感肌にとってスキンケアが大切なことに変わりはありません。特に、乾燥肌から発展して敏感肌に移行してしまうようなケースでは、乾燥肌同様に保湿ケアが重要になります。
敏感肌の場合は、保湿ケアのための化粧品に含まれる成分によって肌荒れが起きてしまうこともあります。余計な成分をできるだけ排除したシンプルなスキンケアが基本。各メーカーが「敏感肌用」として販売しているアイテムであれば、肌を刺激する成分をできるだけ含まないように設計されているはずです。実際に肌に合うかどうかパッチテストで試してから、取り入れるとよいでしょう。
6.顔が乾燥するときの日焼け止めの使い方
日焼け止めを使うと肌が乾燥することがあります。かといって紫外線対策をしないのも肌トラブルの原因になります。ちょっと迷うケースですよね。
おすすめの対策は、できるだけ刺激を抑えて日焼け止めを塗ることです。
- SPF30、PA+++くらいを目安に
- 紫外線吸収剤は避ける
- 洗顔だけで落とせるものを選ぶ
がポイントになります。
日常使いではそんなに高い紫外線カット能力は必要ないので、刺激の少なさを優先します。紫外線吸収剤は紫外線を熱エネルギーに変換して放出する仕組み。肌を刺激する原因になるので紫外線吸収剤が含まれていないアイテムを選びましょう 。
落としにくい日焼け止めはクレンジングの際に肌を刺激して乾燥につながるので、乳化していて洗い流しやすいクリーム系がおすすめ。ジェル系はエタノールやDPGといった乾燥の原因になる成分を含んでいることが多いので避けた方がよいでしょう。
7.顔が乾燥するときのファンデーションの塗り方
ファンデーションは肌に悪いというイメージがありますよね。
でも実際はその反対。ファンデーションを塗った肌と素肌を比較した実験が行われました。顔の半分にファンデーションを塗り、もう半分は素肌のまま3時間後、6時間後の水分量と皮脂量を調べるというもの。結果は、水分量はファンデーションを塗っている方が3.2%高く、皮脂量は素肌の方が9.6%高くなりました。
つまり、素肌のままだと、より多くの水分が失われ、代わりに多くの皮脂が分泌されることが分かりました。これは肌表面は脂っぽいのに内側は乾燥している「インナードライ」の状態。ニキビなどの肌トラブルの原因にもなります。ファンデーションをしっかり塗ってメイクすれば、インナードライを防ぐことにもつながります。
肌に悪いイメージのあるファンデーションですが、実は、肌への影響はあまり大きくありません。化粧水や美容液が角層まで浸透するのに対して、ファンデーションは肌の表面にただ乗っているだけだからです。そして、リキッドファンデーションに比べてパウダーファンデーションは肌への密着度が低く、刺激は小さくなります。
刺激の小さいパウダーファンデーションの中でも、鉱物を原料にしたミネラルファンデーションはオイルを使用しておらず、洗顔だけで落とせるのでさらに肌に優しくなります。
8.顔が乾燥するときの乳液の使い方
乳液は必要でしょうか。
化粧水の後で美容液や保湿クリームを使う人であれば乳液は必要ないという考え方もあります。肌に必要な保湿成分や油分はそれらに含まれているためです。
ただ、最近は乳液の品質も上がっており、特にUVカット機能付きのものは使ってみると便利なもの。これを塗っておけば、そのあとで、日焼け止めや、化粧下地、ファンデーションを厚く塗る必要がなく、トータルで肌の負担を減らすことにもつながるでしょう。
また乳液は化粧直しのときに化粧を落とすのにも使えます。リムーバーよりも肌に優しいので乾燥肌の人でも安心して使えるというメリットもあります。
9.顔が乾燥するときの美白ケアの順番
保湿ケアをしっかり行いながら、同時に美白ケアも取り入れたいときはどうしたらよいのでしょうか。複数の美容液をどの順番で使えばいいのか少し迷いますよね。
原則は、粘度の低いさらっとしたものを先にして、粘度の高いこっくりしたものを後にします。美白ケア用の美容液の中でも顔全体に用いるものは粘度が低く、ピンポイントで用いるものは粘度が高い傾向があります。
また美白ケアの中でも、肌の汚れを落として透明感を出すタイプのアイテム(拭き取り化粧水など)は化粧水の前に使います。
- 洗顔
- 拭き取り化粧水
- 化粧水
- 顔全体に塗る美白ケア用美容液(粘度:低)
- 保湿ケア用美容液(粘度:中)
- ピンポイントで塗る美白ケア用美容液(粘度:高)
- 乳液
あくまでも一例ですが、このような順番を想定できるでしょう(美容液の順番は粘度によって変わります)。
10.乾燥を伴うアトピー性皮膚炎のスキンケア
アトピー性皮膚炎の肌はバリア機能が低下して乾燥しやすくなっています。乾燥はかゆみの原因となり、かいてしまうと傷ができて肌の状態がますます悪くなってしまいます。
こうした悪循環を避けるには、しっかり保湿する、肌を刺激する添加物、香料、着色料などを避ける、かゆみ対策をする、ことが大切です。
火照りはかゆみの原因になるので、保冷剤で冷やすのも有効です。汗もかゆみの原因になるのでハンドタオルを携帯していつでもぬぐえるようにしましょう。かゆみは保湿剤を多めに使うことで改善できることがあります。
例えば、ヒルドイドは「ヘパリン類似物質」を配合した高い保湿能力を持つ医薬品で、アトピー性皮膚炎の治療に用いられています。最近では医薬品以外でも、「ヘパリン類似物質」を配合した薬用化粧品が販売されています。
11.顔を乾燥させない洗顔料&クレンジング選び
洗顔料やクレンジング剤の目的は肌に残った汚れや、肌の新陳代謝で古くなった角質(いわゆる垢など)をきれいにすること。ですが洗浄力が強すぎると、汚れと一緒に肌に必要な皮脂まで洗い流して乾燥の原因になることも。
洗顔やクレンジングは汚れを落とすのが仕事で、肌に何かを与えるのはメインではありません。まずは肌を刺激する成分が入っていないかどうか、をチェックしておきたいですね。
まず、よく見かける、パーム油、ヤシ油というのは原材料が安く手に入りますが、肌を刺激するのであまり良い成分とは言えません。
オリーブオイル、馬油、ナッツ油は肌にダメージを与えにくいオレイン酸を含み、茶色い色をしているのが特徴。これらを配合していれば、ちょっと良さそうな化粧品といえます。
界面活性剤は汚れを落とすために必要な成分なので、すべてが悪いわけではありませんが、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムなどは刺激が強いので、肌が乾燥しやすい、荒れやすいという人は避けた方がいい成分です。
反対に、酸性石鹸と呼ばれるカルボン酸は洗浄力があり、肌にもやさしいという優れもの。肌の乾燥対策にこだわるなら、こうした成分を含むアイテムを探してみましょう。
12.顔を乾燥させない化粧水選び
化粧水の役割は、洗顔の後に肌を乾燥させないように水分をたっぷり与えること。この「たっぷり」というのが重要で、あまりにも高価なアイテムを使ってしまうと、どうしてもチビチビと使いたくなって本来の効果が得られないことも。
化粧水はしょせんは水と割り切って、たっぷり使えること、肌の負担になる成分を含まないことを優先して選びましょう。そのうえで、保湿成分をはじめ、美白やエイジングケアに役立つプラスアルファの成分が含まれているかをチェックするとよいでしょう。
化粧水にはベースの成分というのがあります。
まず、あまり良くない成分としては、蒸発しやすく肌の水分を奪ってしまうエタノール。保湿成分ではありますが安価で肌の刺激になるDPG。このあたりはありがたくない成分です。できれば避けた方がいいでしょう。
次に、おすすめの成分はというと、さっぱりした使用感を出すBGと、しっとりとした使用感を出すグリセリンです。この2つは両方とも肌への刺激も小さく、安心して使用できます。
13.顔を乾燥させない乳液・美容液・クリーム選び
美容液やクリームは、まさに肌にうるおいを与えるためのアイテムといえます。保湿というと化粧水を思い浮かべる人も多いかと思いますが、化粧水は水なので基本的には一時的に肌をうるおすためのもの。時間が立てば蒸発してしまうので、化粧水だけでは保湿ケアは完成しません。
化粧水と美容液・クリームの一番の違いは、油分の割合です。化粧水に油分は少なく、美容液・クリームの油分は多めとなります。油分が多ければ、それだけ油溶性の有効成分を配合しやすくなります。
肌の乾燥対策で美容液・クリームを選ぶなら、セラミド、コラーゲン、ヒアルロン酸といった保湿成分が含まれているかどうかはチェックしておきたいところ。
特に、セラミドは油溶性で、肌の一番外側にある表皮まで浸透すれば、肌をうるおし、バリア機能をキープする働きをしてくれます。セラミドにはいくつも種類がありますが、人の肌と同じ構造をしたヒト型セラミドが保湿効果に大変優れているといわれています。例えばアスタリフトはセラミドを配合した化粧品です。先行型美容液が肌に潤いを与え、浸透力を高めてくれます。
また油分の中でも肌に刺激を与えないおすすめの成分として、スクワラン、ワセリン、ミネラルオイルが挙げられます。
14.顔の肌トラブルを避けよう
肌が乾燥してヒリヒリすることがありますよね。ヒリヒリするのは肌のバリア機能が低下している証拠。
肌は、体の一番外側にある防御壁ともいえます。肌のすぐ外側には、寒くなったり乾燥したりと絶えず変化する過酷な環境があります。美肌に影響を与えるものとしては、ふりそそぐ紫外線や、汚れた空気なども含まれますね。
肌にもともと備わっている防御機能は、水分を利用するものです。角層は水分と油分が交互に並ぶ「ラメラ構造」をしています。これにより水分の蒸発を防いで、肌をうるおいで満たし、外部から刺激が入ってきてもちょっとやそっとでは肌荒れしないように対策しています。
でも肌が乾燥すると、肌の水分量は低下。バリア機能も弱くなって肌荒れが起きやすくなります。実は、バリア機能が低下した肌では毛穴に角栓が詰まりやすくなります。角栓が詰まると、毛穴の汚れや皮脂が出口を失って溜まり、アクネ菌が繁殖することでニキビができやすくなります。
しっかり保湿ケアをして肌を乾燥から守ることは、バリア機能を高めて肌荒れを防ぎ、さらに、大人ニキビをできにくくする効果もあるのです。
15.素顔に自信が持てたらゴール
乾燥している肌はバリア機能が低下していることにふれましたが、それは外部の刺激によって肌が悪い方向に変化しやすいことを意味します。つまり、くすみやシミ、シワ、たるみといったエイジングサインが出やすいのです。
年齢肌は隠したくなって当然。若いころと比べてカバー力を重視したメイクに変化していくのが一般的です。
シミやシワが老けて見える原因になるのは確か。でも、しっかりカバーした厚化粧も老けて見える原因になってしまいます。最低限のカバーをしつつ、ナチュラルメイクをキープした方が実ははるかに若々しく見えます。
保湿ケアで肌トラブルを減らし、毛穴も目立ちにくいコンディションをキープできれば、薄付きの化粧でもやっていけますよね。
適度に素肌感のあるメイクに自信が持てるようになったら、いよいよスキンケアもゴールに近づいているといえそうです。